『國本市果の全裸プール罰』 ※キャラ毎の視点小説 ---------------------- ■一番手前 ・星 紗雪(ほしさゆき) 面倒見がいい紗雪でも助けることはできない状況。 よけいな手を差しのべると桐林先生から目をつけられてしまうからだ 連帯扱いされて先生のお仕置きポイントが溜まるのだけは避けなければいけない。 (ごめんね國本さん…) 彼女はこころの中で詫びつつ、これが自分じゃなくてよかったと少し安堵し、 忘れ物だけはしないようにと新たに気を引き締めた。 ---------------------- ■手前から2番目 ・國本市果(くにもといちか) (どうしてこんなことに) (絶対に忘れものだけはしちゃだめだったのに…) 事の発端は昨晩のうかつな行動にある。 いつも通り夕飯前には洗濯かごに洗って欲しい水着をいれたはず。 しかしその日は運悪く、職人である父のよごれた作業着を洗う日であった。 更に不運は重なり、母はその日2度目の洗濯をすっかり忘れていたのだ。 もちろん、洗ってもらったものだとたかを括り、今一度確認することを忘れていたのは市果の過失でもある。 そして朝、登校前に聞こえてくる絶望的な洗濯機の振動音。 「お母さん…まさか…今洗ってる…? 今日もプールなんだけど…」 「あら、そうなの?」 「そうなのって昨日洗濯だしてたじゃん!」 「ごめんね気づかなくて、けど今日晴れるかしら?」 窓から外をみるとたしかに今朝はどんより薄曇りだ。 このまま晴れずに水温が低ければ体育館でバスケットボールになるだろう。 市果は一縷の望みを雲の神様にたくして重たい足どりで学校に向かった。 しかし市果は晴れ女である。 1時間目のおわるころにはすっかり天候は回復し、セミがけたたましく鳴き叫ぶカンカン照りとなった。 あわてて他のクラスに水着を借りに奔走するが、さすがに水着を貸してくれる友達はいない。 そもそも今日は5年生はうちのクラスしか体育が入っていなかった。 絶望とともに4時間目のプールの授業が近づいてくる。 仮病でも使おうか。 しかし体調が悪い日はあらかじめ親に連絡ノートをかいてもらわないといけないのが学校の決まりだ。 (まだ市果に生理は訪れておらず、女子の特権については知る由もなかった) 自分の頭で桐林先生をあざむくことはむずかしい…素直に怒られよう……。 そう決心した市果は勇気をだして3時間目の終わりに先生に告げた。 「あの……先生…水着忘れました…」 案外怒られずに『あらそう。じゃあ今日は見学ね』 などと、お咎めもなく終わるのではと甘い考えをもっていた。 しかし鬼の桐林という異名をもつ担任の口からは耳を疑う言葉が飛び出した。 「國本さん。あなた3回目です」 「まず4月23日算数の計算ドリル。次に5月14日ソプラノリコーダー」 「そして今日」 「え"…」 生徒の忘れもの履歴を空で暗唱しだした担任の記憶力にドン引きしつつ 自分が"絶対に許されない"3度目であったことをその時ようやく思い出したのだ。 「先生はいいましたね。遅刻3回、忘れもの3回で厳しい罰を与えますと」 「は、はい……」 更衣室へとむかう準備を進めていた周りが静まり返る。 男子たちは担任の雷が落ちるのではと危機を察知して、蜘蛛の子を散らすように教室を飛び出していった。 「水着をわすれた? わかりました。では今日は特別に"水着なし"で泳いでいいですよ」 「え……」 「許可します。体育は見学扱いにしないでおきますね」 「せ、せんせい…それって、はだか…?」 担任は黙ってうなづいた。 反射したメガネからは目の奥の表情が読み取れない。 真っ白になった頭では先生の言ってる意味がいまいち飲み込めず、とっさに周囲の友達に助けを求めるがみんなして目を背けてしまう。 桐林の下す罰にまきこまれたくないのだ。 連帯責任が発生することもあるのがこの教師のやり方だ。 そして諦念した市果はひとりだけなにも持たずにとぼとぼと教室を出て、 気まずそうな顔をしたみんなと一緒に更衣室へと向かった。 ------------------------------ ■手前から3番目 ・三崎和心(みさきわこ) 「わ〜〜男子〜〜〜〜!!」 「ジロジロみるな〜〜」 「秘伝! 水の壁!!!!」 バシャバシャ バシャバシャ バシャバシャ 30秒でつかれてやめた。 しかし友達思いなわこに市果は消え入るような声で感謝をのべた。 ----------------------------- ■手前から4番目 ・遠藤千苺香(えんどうちいか) 「男子みるな! ぶっとばすぞ!!」 「男子最低! エロすぎ! エロばっかり!!」 「エロエロ男子あっちいけ!」 「エロエロ男子はいますぐかえれ!!」 暴言のとおりクラスで一番の男子嫌いである。 正確には同世代のいまだ幼稚な男子が嫌いである。 今日ばかりは水を得た魚のように男子を糾弾する。 喉が張り裂けるほどに男子に罵詈雑言をぶつけるのは、泳ぐよりも気持ちがいい。 市果はその遠藤千苺香の甲高い叫びの度に、男子の目が何度もこちらに向くのがあまりにはずかしかった。 もういいから放っておいてくれと念じたが勝手にヒートアップする千苺香には届かなかった。 しかし一応自分をまもるためにやってくれている千苺香を咎めることはできなかった。 「男子は絶対にイッチーの裸みるな! 女の子なんだよ!!! エロ男子みるな!!」 見るなといわれると、俄然みたくなるのは年頃男子の性であった。 ------------------------------- ■男子たち 「おいまじかよ。みろ」 「國本じゃん」 「裸だぞ…」 「國本さんやば」 「うわ。桐林こわすぎ」 先に更衣がおわってすでにプールサイドで準備体操をしていた男子の前に 現れたのは女子集団の中でたったひとり肌色全開の市果であった。 クラスメートのあられもない姿をみて、エロを感じる前に先にぎょっとしてしまう。 しかも裸にされているのはあの國本市果だ。 市果は普段から明るく元気で、高学年になった今でもいまだに男子とも比較的交流盛んで、クラスのムードメーカーと呼べる存在だ。 誰に対しても別け隔てなく接する姿はクラス中から好感度が高い。 恋愛感情はともかく、市果のことを嫌い/ざまぁみろという男子はほとんどいなかった。 そんな市果のいつもの明朗快活さが鳴りを潜め、 しゅんと小さくなっている姿は物珍しく、 震えるように素肌をかくして抵抗している様はなんとも背徳的に感じた。 市果のまわりの女子は控えめに腕を差しのばしたり、前に立って人壁としてなんとか市果の素肌を衆目からガードしようとしているが、いよいよ女子にも準備体操のときがきてしまった。 「体操の体系にひらけ」 担任の桐林の号令とともに、晴天のもと完璧に衆目にさらされる市果の幼い裸体。 女子たちの陣取るプールの対岸との距離はたった12mほどしかない。 この距離なら遠目でも顔が茹で蛸のように真っ赤になっているのがはっきりとわかる。 体操するたびに小さく弾む市果のおっぱい。 なにも生えてないつるつるの股間。 真っ白で小ぶりでとても形のよいお尻。 仲いい女子のふだん絶対にみられない羞恥に歪む顔。 まだ性的興奮をしらない男子でもなぜか腹の奥底が煮えたぎるようにあつくなるのを感じた。 今日は三崎和心や汐美京らの弾む巨乳にすら目を奪われることはない。 ほとんどの男子が市果の裸に釘付けだった。 男子一同は担任桐林の男女関係ない容赦のなさにおびえながらも感謝しつつ、 市果の羞恥にもだえる全裸姿をしっかりと網膜に焼き付けるのであった。 しかし流石に授業のあと無神経に市果をいじり倒す男子はおらず、 しばらく市果は腫れ物のようにそっとしておかれたようだ 『國本市果の全裸プール罰』おわり。